研究課題/領域番号 |
09460033
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
蚕糸・昆虫利用学
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
清水 進 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (20187454)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1997年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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キーワード | カイコ / 硬化病菌 / 飢餓ストレス / 遺伝子 / 発現 |
研究概要 |
カイコ硬化病菌は機械的圧力とクチクラ分解酵素の作用によりカイコ表皮を突破する。これら酵素群は一種のカタボライト・リィプレションとフィードバック機構によって制御されていると推定されている。この制御機構に関して実験を行ない、この中でも最も病原性と深い関わりのあるプロテアーゼ(Pr1)遺伝子についてMetarhizium糸状菌の株間差異とそれによる系統樹の作成ならびにPr1およびリボソームDNA(rDNA)系統樹を比較検討し以下の結果を得た。 (1)P.fumosoroseus,B.bassianaおよびM.anisopliaeのPr1は糖とくにN-アセチル-D-グルコサミンによって強く抑制され、これら遺伝子の発現には飢餓ストレスが必須条件である。 (1)Pr1遺伝子領域のPCR増幅により、var.anisopliae株およびvar.majus株いずれもcDNAによって予測された1100bpよりも大きい約1.2Mbpの鮮明な一本のバンドが得られた。 (2)M.anisopliae var.anisopliae5940株のPr1遺伝子領域の塩基配列を決定し、cDNAによるものと比較したところ、3箇所にイントロンが確認された。このイントロンは、糸状菌特有の性質を備えていた。 (3)PCR増幅産物はRFLP分析により分岐価を求め、UPG法で系統樹を作成した。var.anisopliaeおよびvar.majus株はそれぞれ一つのグループを形成したが、日本由来のvar.anisopliae 5940株の分岐価は、var.majus株に近い値を示した。 (4)PCR増幅したrDNAのITS 1、5.8SおよびITS 2領域の塩基配列を決定し。5.8S領域と、ITS1およびITS2間では欠失または挿入ならびに塩基置換率に顕著な差が見られた。 (5)rDNA ITS 1、5.8SおよびITS 2の各領域ならびに全領域を塩基配列に基づいて、近隣結合法による系統樹を作成した。M.anisopliae var.anisopliaeの日本由来株は、M.anisopliae var.anisopliae A タイプと相似しているが、一つのグループを形成すると考えられた。 (6)Pr1およびrDNAの塩基置換率を比較した場合Pr1において高い塩基置換が認められ、このことが病原力の株間差異に影響しているものと考えられた。また、Pr1およびrDNAによる系統樹を比較した場合高い類似性が認められ両遺伝子による硬化病菌のグルーピングは可能であると考えられた。 以上、カイコ硬化病菌のストレス遺伝子群について研究を行ってきたが、今後これら遺伝子のプロモーター部分の解析を行うつもりである。
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