研究概要 |
エナシロキシン類は、アカパンカビと共に培養したときに、酢酸菌と近縁のバクテリアFrateuria sp.W-315によって生産される抗生物質であり、グラム陽性およびグラム陰性のバクテリアの生育を抑制する。この物質の作用機作はタンパクの生合成阻害である。抗マラリア活性については、イギリスの研究者から関心が寄せられている。本物質の平面構造はすでに我々が解明したが、不斉中心の絶対立体配置については未解決であった。化学的な分解反応により、本物質の15位から23位を含む断片(5-chloro-6-(1′E-1′-butenyl)-2,4-dihydro-2-pyranone)を得た。この断片をグルコースから誘導した標品と比較することにより、(12′S,17′R,18′S,19′R)と決定した。シクロヘキサン部分の立体化学については既に解決済みであり、現在、残りの不斉中心の立体化学(13′,14′,15′)の解明に力を注いでいる。 また次の論文を作成・投稿準備中である。 1. Intramolecular Migration of Acyl Group of Enacyloxin IIa Methyl Ester. 2. Absolute Configuration of 3,4-Dihydroxy-1-cyclohexanecarboxylic acid in the Structure of Enacyloxins. エナシロキシンの生合成に関しては、生合成の進展と密接に関連して消長する酸性物質が存在することを見いだし、エナシロキシンの生産菌の大量培養し、構造決定すべく努力を重ねている。
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