研究分担者 |
高橋 強 京都大学, 農学研究科, 教授 (80021707)
廣谷 博史 愛媛大学, 農学部, 助教授 (70218858)
櫻井 雄二 愛媛大学, 農学部, 教授 (00036427)
黒田 久雄 茨城大学, 農学部, 助教授 (20205256)
武田 育郎 (武田 郁郎) 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (60227022)
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研究概要 |
本研究は,農業集落排水処理施設の処理水を,有効な水資源や肥料源として利用するとともに,農地の水質浄化作用を活用し,処理水をさらに良好な水質にできるような,農村の整備・計画・管理手法の確立に有用な知見を得ることを目的として実施した. 先ず第一には,関連する研究レビューを行った. 第二には,集落排水施設における処理水再利用の実態と課題を明確にするため,処理水再利用を実際に行っている18施設の集排施設と4施設の公共下水道施設の状況を調査した.それにより,1)再利用は水資源効果のみが期待されて実施されており,肥料効果や農地の水質浄化効果は活用されていないこと,2)水稲への再利用が主であること,3)灌漑期全般にわたる継続的利用が多いこと,4)処理水の農地への配水方式は多様であること,5)計画処理水質は再利用を特に考慮せずに決定されていること,6)処理方式は多様なものが利用されていること等の,実態と特徴を明らかにし,今後の具体的な検討課題を整理した. 第三には,集落排水処理水を一旦溜池に流入させたり,河川水と混合して水田に再利用している愛媛県I市O地区で実態調査を行った.その結果,1)溜池水や河川水で希釈した処理水を使っても,従来と同様の施肥・農薬散布で良好な収穫が得られること,2)大腸菌群数,一般細菌数は,従来利用されていた河川水などの灌漑水よりも処理水で小さく,処理水の再利用過程での,住民や農民の処理水への接触における安全性は高いこと,3)農地における浄化作用はNO_x-Nについての効果が高いこと,4)処理水の溜池への送水には,灌漑期における樋門管理の省力化に繋がるという利点もあること,などが明らかとなった.また,溜池に送水されていた処理水は,夏季には溜池内部で完全には混合しにくく,1〜2m程度の深さに滞留しやすいことを明らかにし,その原因も究明した.
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