研究課題
基盤研究(B)
本研究では、ルーメンプロトゾアがテトラヒメナなどの自然界のプロトゾアと同じくTGAのみを終止コドンとしているのかどうかを解明することを目的とした。方法論的には、ルーメンプロトゾアの一種Entodinium caudatumのcDNAライブラリーからクローニングされる遺伝子の解析を行なった。その結果、まず、キチナーゼ遺伝子(ECchi2)のスクリーニングに成功し、その遺伝子の解析を行なった。この遺伝子を解析した結果、この断片のORFの終止コドンはTAGであり、テトラヒメナと異なることが分った。テトラヒメナの終止コドンであるTGAは、ポリ(A)テールの3'側下流にあるので、これはキチナーゼ遺伝子の発現にはまったく関与しないと考えられた。次に得られたORFは、チューブリン遺伝子(ECtub1)であった。このORFの終止コドンは、ユニバーサルコドンでは、終止コドンとしてTAAを認識した。そのTAAの下流にはTGAがあった。しかし、TAAの前には、CAAがあってこれはグルタミン(Q)であり、他に上流に6個のグルタミンがあり、それらがすべてCAAなので、おそらくTAAは終止コドンとして使われていると考えられた。キチナーゼの例からしても、このチューブリン遺伝子はTAAを終止コドンとするユニバーサルコドンを使っている可能性が高いと考えられた。英国との共同研究の中で、チューブリンとともに細胞内の微小管のもう一つの構成成分とされるセントリンの遺伝子を同じくE.caudatumのcDNAライブラリーからクローニングしたが、この遺伝子の終止コドンもTAAであった。次にクローニングされた遺伝子は、酸性ホスファターゼ遺伝子(ECapho1)であった。このORFの終止コドンはTAAであった。このORFにはグルタミンが10個含まれ、そのうちの9個がCAA、1個がCAGであった。したがって、この場合は、TAAが終止コドンとしで使われているものと考えられた。以上の結果から、ルーメンプロトゾアE.caudatumは、ユニバーサルコドンを使っている可能性が高いと考えられた。
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