配分額 *注記 |
15,600千円 (直接経費: 15,600千円)
1999年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1998年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1997年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
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研究概要 |
血小板は,その細胞表面にIgEなどの特異受容体や接着分子を発現し,これらを介した活性化機構が推論されている。本研究は,接触性皮膚過敏症やアトピー性皮膚炎など遅延型アレルギー反応を基盤として発症する疾病の病態発現過程における血小板の関与を分子免疫学的に解析するもので,得られた研究成果は以下のごとくである。 1.塩化ピクリル接触性皮膚過敏症のマウスモデルによって,抗原特異性IgEあるいは誘導T細胞より分泌された誘導因子によって感作された血小板は,特異抗原の架橋によって,凝集誘導されるとともに,過敏症反応誘導因子であるセロトニンおよびATPを放出することが判明した。 2.上記反応はマスト細胞欠損マウスを用いた血小板介在性遅延型アレルギーモデルにおいて検証された。即ち,血小板活性化因子であるトロンボキサン(TX)A2の受容体拮抗剤の投与によって完全に阻止され,血小板に由来するTXA2が必須のメデイエーターと機能していることが判明した。 3.マウス血管内皮細胞の分離培養に成功し,これを用いて活性化血小板からのTXA2により接着分子の発現が誘導されることが判明した。 4.活性化血小板に出現したフォスファチジールコリンが介在することによって,神経成長因子がその高親和性受容体を介し,マスト細胞の活性化誘導することが明らかとなった。この現象はラットを用いたin vivo実験でも検証され,アレルギー反応における新たなる病態プロセスの発見となった。
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