配分額 *注記 |
4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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研究概要 |
骨格筋細胞膜の活動電位が横行小管に存在するL型Ca^<2+>チャネル(DHP/電位センサー)の構造を変化させ、細胞内Ca^<2+>(筋小胞体)に存在するリアノジン受容体(RyR/Ca^<2+>遊離チャネル)へと情報を伝達する。その結果としてリアノジン受容体から放出されたCa^<2+>が収縮蛋白質に作用し、筋収縮を起こす。この二つのチャネル蛋白質間の相互作用機構の解明は活動電位の細胞内への情報伝タウ機構を知る上で必須である。しかし、その分子機構はまだ十分には理解されていない。哺乳類リアノジン受容体は3種類(RyR1,2,3)あり、RyR1は骨格筋の興奮-収縮連関に関与している。最近、RyRチャネル分子の酸化・還元状態がチャネル活性を制御していることが示された。RyR1をウサギ骨格筋より精製し、チャネル活性を測定したところ、少なくとも二種類の性質の異なるチャネルが存在した。一つは細胞質側Ca^<2+>に対し、反応性が低く、開確率も低いチャネル(low-Po)と他はベル型のCa^<2+>反応性を示し、開確率の高いチャネル(high-Po)であった。low-Poとhigh-Poチャネルの性質が酸化・還元と関連するか、また酸化・還元剤およびCa^<2+>、caffeine,adenine nucleotideなどチャネル修飾剤の効果が両チャネルで異なるか否かを検討するため。チャネル蛋白質を精製、人口脂質平面膜法で、チャネル電流を観察した。500/50mM KCL(cis/trans),20mM HEPES-Tris緩衝液を用いた。low-PoチャネルはSH酸化剤(pCMPS)で活性化されhigh-Poと似た性質を示した。high-PoチャネルはSH還元剤(DTI)で抑制され、low-Poチャネルと似た性質に変化した。またhigh-PoチャネルはCa^<2+>,caffeine,adenine nucleotideなどのチャネル修飾剤に応答したが、low-Poチャネルは反応しなかった。これら無反応のチャネルは、pCMPSで活性化された後、チャネル修飾剤に対する応答性を回復した。一方、high-PoチャネルDTTで還元後Ca^<2+>,caffeine,adenine nucleotideに応答しなくなった。これらの結果はCaチャネル蛋白質のシステイン残基の構造変化がチャネル開閉や薬物への反応性など情報伝達機構に重要な役割を果たしている事を示唆している。DHPの細胞内ループIIとIIIのアミノ酸によるRyRチャネルの開閉にシステイン残基がいかなる影響を持つかは今後の課題である。
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