研究分担者 |
辻田 純三 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30104235)
佐々木 貞雄 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (20104276)
堀 清記 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80068452)
加納 直行 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (20152829)
中垣 育子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (90084904)
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配分額 *注記 |
8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1997年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
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研究概要 |
褐色脂肪組織(BAT)は齧歯類の非ふるえ産熱の主要組織で,寒冷曝露時の熱産生(非ふるえ熱産生)に関与する.寒冷曝露により,ミトコンドリア内膜にBAT固有の脱共役蛋白質(サーモゲニン):UCP1が増加し、ATP合成に脱共役して熱産生を行い体温を維持する.長期寒冷順化を行うとBATは増加し,UCP1とミトコンドリアの増加,脂肪滴の小葉化,血管の増加を伴うが長期寒冷順化後の脱順化におけるBATの状態、生理機能の詳細は不明であった.一方,肥満は多数の要素が複雑に絡みあって発症するが,今回,肥満ラットと正常ラットの寒冷順化及び脱順化におけるエネルギーバランスの動態を解析した. Wistarラット,Zucker leanラットでは寒冷順化で,副腎重量,摂餌量が増加し,体重の増加率は減少したが,いずれも脱順化2週間で温暖順化群の値に近づいた。一方、BATの重量及びUCP1、GLUT4蛋白の発現量は寒冷順化で増加し、脱順化であまり減少せず,脱順化群のBATの脂肪滴もやや大きく,脂肪含量も増加するが寒冷順化時の形態を残した.呼吸商は脱順化しても寒冷順化群と同様,減少しており,10℃における温暖順化群の呼吸商は上昇するが脱順化群ではあまり上昇せず,生理的には温暖環境に適応しているが寒冷環境にすみやかに対応が出来るエネルギー代謝を行っていると推察された。Zucker肥満ラットにおける寒冷順化、脱順化のエネルギー代謝への影響はWistarラットやleanラットの場合とほぼ同様であった.肥満ラットでは寒冷順化で代謝率が高く,非ふるえ熱産生をより優位に行い,脱順化時には25℃の代謝率は温暖順化群と同様に低いが10℃における非ふるえ熱産生の増加はより顕著であった.肥満ラットの場合,寒冷による摂餌量の増加は無く,体重増加の抑制はより顕著で,脱順化による体重回復も遅れた.安静時代謝量の増加,血糖値,血清脂質量の減少,体重の減少等,寒冷環境が好ましい影響を与えていると思われる.
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