配分額 *注記 |
12,500千円 (直接経費: 12,500千円)
1999年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1998年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1997年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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研究概要 |
1)これまでに膵がんにおいて高頻度に欠失している領域を1p,6q,9p,12q,17p,18qの6箇所の染色体領域を同定していたが,これらの欠失と予後との関係を検討し,12q,17p,18qの3箇所の欠失が予後不良と有意な相関を示すことを明らかにした。これらの欠失のうち17pはp53遺伝子の領域の欠失で,18qはSMAD4遺伝子の近傍の欠失である。 2)6q,12qにおいては,共通欠失領域をそれぞれ3箇所,2箇所同定し,6qの1箇所と12qの2箇所においては,欠失領域をカバーするBACによるコンティグを作成し,遺伝子を複数単離・解析した。 3)12q21のDUSP6遺伝子,12q24のTDG遺伝子は多数の膵癌細胞株で発現抑制,あるいは消失が見られ,遺伝子発現が無くなることが発がん・進展過程に関与している可能性があるものと考えられ,現在,更なる解析を進めている。 4)18qの欠失領域の標的遺伝子と考えられるSMAD4遺伝子のtwo-hitのある膵癌細胞株に正常SMAD4遺伝子を導入してもがん細胞の増殖抑制効果は見られなかった。そのため,SMAD4遺伝子の異常は,増殖そのものに寄与するのではなく,発がん過程において,それ以外の何らかの機構での関与があるものと考えられる。 5)18qの欠失が膵の発がん過程において初期変化であることを前年度に明らかにしたが,今回は18qの欠失が予後不良因子でもあることを示した。これらの事実から,同領域にはSMAD4以外にもがん抑制遺伝子が存在し,一方の異常が初期変化,もう一方の異常が予後不良因子である可能性が考えられる。
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