研究課題/領域番号 |
09470061
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石川 隆俊 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30085633)
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研究分担者 |
小田 秀明 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40214142)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
9,400千円 (直接経費: 9,400千円)
1998年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
1997年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | p53欠損 / ノックアウトマウス / 脳腫瘍 / 経胎盤発癌 / schwannoma / neu 遺伝子、活性化 / エチルニトロソウレア / DNA損傷 / neu遺伝子、活性化 |
研究概要 |
本研究では化学発癌物質エチルニトロソウレア(ENU)を用いた経胎盤発癌実験をp53遺伝子欠損へテロマウスに行い、仔マウスに発生する腫瘍の解析を行った。発癌実験はへテロマウスを交配し、主に妊娠12.5にENU25mg/kgを腹腔内投与した。その結果ホモで早期に、ヘテロではやや遅れて脳腫瘍が発生した。野生型マウスでは脳腫瘍の発生は全く認められなかった。発生した腫瘍はglioblastoma(70%)であり、ヘテロにも2例にglioblastoma(4%)を認めた。このヘテロに発生した脳腫瘍は、2例ともp53wildアレルの欠失が認められた。ENU経胎盤投与により正常マウスでは殆ど発生することの無いグリア系悪性脳腫瘍がp53が無い条件下でに高率にしかも早期に発生する系を確立した。さらに、胎生12.5日にENUを妊娠雌マウスに投与した際に認められる胎児臓器の変化を組織学的およびTUNNEL法を用いて検索した。この結果、野生型胎児マウスでは脳腫瘍の発生する前脳部分に限局してアポトーシスを示す細胞が多数認められ、ENU投与後4時間から観察され16時間でピークに達した。ホモ胎児マウスでは96時間まで観察したがこのアポトーシスが全く認められなかった。この結果からENUによりDNA障害を受けた細胞はp53依存性にアポトーシスにより排除され、p53の存在しない条件下では障害を受けた細胞の排除が行われず、腫瘍が発生すると考えられた。胎生12.5日では大脳のグリアが増殖している時期に当たり、脳腫瘍の発生と細胞増殖およびアポトーシスの関連が示唆された。この仮説を確認するため、小脳の外顆粒層が増殖している生後1日目の新生児マウスにENUを投与した。p53依存性アポトーシスは小脳の外顆粒層に限局して認められ、2ヶ月後、小脳腫瘍であるmedulloblastomaが60%に生じたのである。
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