研究課題
基盤研究(B)
急性炎症における血管透過亢進のメカニズムを解明するため、各種のウサギのレコンビナント・サイトカインおよびその抗体と、免疫測定系を開発し、主としてウサギ胸腔のLPS炎症を用いて研究を進め、以下の事実を明らかにし、従来不明であった第2相の遅延型透過はTNFαによって誘導されたinterleukin-8によってメディエートされていることを決定した。すなわち、(1)急性炎症の血管透過亢進は2相性であり、その第1相の即時型透過はヒスタミンにより支配されていることを再確認した。(2)TNFαまたは、IL-8のブロック、または好中球の枯渇操作のいずれによっても、即時型透過は影響を受けないが、遅延型透過は完全に消失する。(3)IL-1のブロックは遅延型透過を抑制しない。(4)ウサギTNFα、またはIL-8によって抗ヒスタミン剤によって抑制されない遅延型の血管透過亢進を起すことができる。(5)好中球枯渇ウサギにおいて遅延型血管透過は消失するがTNFαの産生は保たれている。(6)TNFαによってIL-8の産生が誘導される。(7)好中球枯渇ウサギにおいてIL-8は遅延型透過を起こすが、TNFαはこれを起すことができない。(8)GROはTNFαの誘導を介して血管透過を起す。(9)MCP-1は即時型、遅延型いずれの血管透過亢進にも関与していない。従って、TNFαは炎症初期に産生され、IL-8の産生を誘導し、このIL-8が遅延型血管透過亢進を起していると結論できる。さらに、類似の血管透過亢進はウサギLPS関節炎、ブドウ膜炎でも観察できるので、このメカニズムは一般化できると考える。
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