研究課題/領域番号 |
09470108
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
磯 博康 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (50223053)
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研究分担者 |
飯田 稔 大阪府立成人病センター, 集検工部, 部長
小池 和子 茨城県立医療大学, 保健医療学, 教授 (60110508)
谷川 武 筑波大学, 社会医学系, 講師 (80227214)
嶋本 喬 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50143178)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
8,100千円 (直接経費: 8,100千円)
1998年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
1997年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 血小板凝集能 / 血清脂肪酸構成 / 魚介類 / 危険因子 / 循環器疾患 |
研究概要 |
循環器疾患の発症に対する血小板凝集能の影響を追求するために、身体・生活要因と血小板凝集能との関連を秋田県I町、高知県N市及び茨城県K町における50〜70歳の男性472人について検討した。凝集能試薬にADP(adenosin 5-diphospate)を用い、比濁法により血小板凝集能閾値係数(PATl:the platelet aggregatory diphosphate)を求めた。血小板数、平均血小板容積、白血球数、および血清脂肪酸構成割合の測定も行い、魚介類および大豆摂取に関する調査を1週間の食事記録により行った。PATIは各町とも対象正規分布を示した。I町はN町、K町に比し、対数変換したPATI(log PATI)の平均値が高く、血小板凝集能が低かった。 重回帰分析の結果、log PATIと有意な正の関連を示したのは血清n-3系多価不飽和脂肪酸構成割合であった。逆にlog PATlと有意な正の関連を示したのは、血小板数、平均血小板容積、白血球数、年齢であった。また、log PATIとlogγ GTPとの間には正の関連傾向が認められた。大豆蛋白摂取量および喫煙についてlog PATIとの間に明らかな関連は認められなかった。 この研究でPATIと最も関連の強いその他の血小板凝集能の指標を検索したところ、ADPIμMの最大凝集率がPATIとの相関が0.9と最も強かった。そこで、ADPIμMの最大凝集率を茨城県K町50〜74歳男女465人を対象に新たに実施した。その結果、最大凝集率の関連要因としてPATIと同様な要因が抽出された。 魚介類(n3系多価不飽和脂肪酸)の摂取が血小板凝集能に及ぼす影響を調べるため、28〜58歳(38±12歳)のボランティア7人を対象とした介入研究を行った。1日あたりn3系多価不飽和脂肪酸約10gに相当する魚を17日間連続して摂取し、その後は各自の通常食に戻した。凝集試薬にはADPおよびコラーゲンを用いた。血清n3系多価不飽和脂肪酸の構成割合は魚摂食期間中速やかに上昇し、摂食開始前の約3倍に達した。また、摂食期間中血小板が徐々に減少し、逆に平均血小板容積が増加し、両者とも魚摂取期間終了後徐々に回復した。log PATIはADP、コラーゲンいずれの凝集試薬を用いても魚摂取期間中に上昇傾向(血小板凝集能の低下傾向)を示した。血漿フィブリノーゲン値は低下傾向を、血清中性脂肪は低下を示した。 以上より、地域住民を対象に血小板凝集能の検査が多人数に実施できることが示され、血小板凝集能が亢進している者に対して、魚の摂取等を勧めることにより、閉塞性動脈硬化性疾患の予防に寄与する可能性が示された。
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