研究概要 |
肝性脳症に関するわれわれの研究成果を背景として,脳における機能局在という観点から,脳高次機能の解析に加えて脳機能イメージングという新たなアプローチを試み,肝性脳症の診断や治療に役立てることを目的とし,以下の研究成果を得た。 肝硬変(代償性,非代償性)例に対してコンピュータ化した定量的神経機能検査(5検査,8評価項目)を行い潜在性脳症の有無を診断し,以下の検討を行った。 1) 認知機能や全般的注意能力の異常を事象関連電位P300の等電位図(カラートポグラフィー,脳マッピング)の面から比較し,定量的神経機能との相関を検討した。 2) 大脳全体の意識をコントロールする脳幹網様体,記憶と情動の中枢としての海馬,肝硬変で脳萎縮の顕著にみられる前頭葉など大脳各部位の血流量を^<99m>Tc-ECD SPECTにより算出した。 3) ^1H-MRSで海馬など脳各部位のコリン、グルタミン、ミオ-イノシトールなどの濃度を測定した。さらに,卵黄コリン経口投与後の脳内コリン濃度を測定し,神経心理学的機能検査を前後で実施し比較した。
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