研究概要 |
平成9年,10年度の科研費の補助を受け,筋萎縮性側索硬化症(ALS),脊髄小脳変性症(SCA),アルツハイマー病などの神経変性疾患について多面的な研究を行い,以下の成果を得ることができた.(1)今回新たにMG160とhuman trans-Golgi networkに対するポリクロナール抗体を作成した.これらの抗体はホルマリン固定パラフィン切片に応用可能であり,現在種々の神経変性疾患の剖検脳で神経細胞のGolgi装置の形態的変化を検討中である.(2)16ALS剖検脳のBetz細胞でもGolgi装置のfragmentationがみられること(ALSで13.2%,非ALSで0.6%)を初めて明らかにした.その出現頻度は脊髄前角細胞での出現頻度に比して軽度であった.(3)ALSに特徴的な封入体であるBunina小体は抗Golgi装置関連抗体で免疫組織学的に陰性であることを報告した.(4)30例のALS剖検脳を検討し,痴呆を伴うALSの側頭葉病変の特徴を明らかにした.(5)英国のInstitute of Pschiatryに保存されていた72例のALS剖検例を検討した結果,英国においても痴呆を伴うALSが稀ならずみられることを明らかにした.(6)髄液中のタウとアミロイドβ蛋白の測定がアルツハイマー病の診断マーカーとして使用可能なことを多施設共同研究で明らかにした.(7)群馬県における13例のSCA2のCAG延長と臨床徴候を解析した.(8)16例のSCA6のCAG延長と臨床徴候との関連を明らかにした.(9)コドン291の欠失を示す副腎白質ジストロフィーの1家系の詳細を報告した.(10)高CK血症,高γ-グロブリン血症を伴うFriedreich病類似疾患の1家系を報告した.(8)活性化されたミクログリアはフェリチンの存在下で鉄依存性の脂質過酸化反応を起こすことを明らかにした.
|