配分額 *注記 |
11,200千円 (直接経費: 11,200千円)
1999年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1997年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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研究概要 |
3年間のまとめを示す 原発性免疫不全症候群の病因遺伝子とその機能の構造生物学的解析においてほぼ計画通り、免疫グロブリン産生不全症などのいくつかの疾患の病因遺伝子を解析できた。なかでも選択的IgG2欠損症の病因となる遺伝子異常を世界に先駆けて明らかにすることができ、さらにこれを発現実験できた(J Clin Invest 1998.J Clin Immunol投稿中)。さらに、Bloom症候群、Ataxia-telangiectasiaの本邦患者の病因遺伝子BLM、ATMの変異をさらに明らかにした。また、BLMについてはコードしているタンパクの核移行シグナルの詳細をやはり世界に先駆けて同定した(BBRC)。 (1)選択的IgG2欠損症の病因となる遺伝子変異:IgG2の重鎖をコードする遺伝子Cγ2のエクソン4の分泌型停止コドンの7塩基上流にGの1塩基挿入(1793ins G)をホモで検出した。この変異によりframe shiftが起こり、IgG2重鎖の膜領域のアミノ酸は疎水性領域を欠く119アミノ酸からなる全く異なる配列に変化する。発現実験で病因であることを確認した。これによりB細胞レセプターとしての膜型IgG2重鎖がその機能を失い、正常なB細胞反応ができないことが本症の病因と考えられた。 (2)Bloom症候群の遺伝子変異:BLM遺伝子のCAAの欠損のために停止コドンが入り、タンパクが作られないことが明らかになった。 (3)Ataxia-telangiectasiaの遺伝子変異:ATM遺伝子の異常としてさらに欠失、点変異などが明らかになった。(R1917X,W2491R,R2909G,IVS33+2T→A,7883del5)。 (4)BLMの核移行シグナルの同定を行い、さらにhelicase部分のタンパク精製と活性実験が完了し耕造解析をすすめている。 (5)Common variable immunodeficiency(CVID)症例の病因遺伝子解析を進めており、現在までにいくつかの候補があがっている。 以上の結果をもとにして、さらに遺伝子がコードしているタンパクの立体構造とその異常を解析すべく研究を進めている。
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