研究概要 |
1. Xp22.3に想定される非特異的知能障害遺伝子 この遺伝子を,Xp22.3領域に微小欠失を有する男性患者における遺伝子型-表現型解析により,約200kb領域に限局した.その後,同領域を包含するPACおよびコスミドを利用してポジショナルクローニングを行い,新しい遺伝子を発見した.この遺伝子は,Y染色体上に相同遺伝子を有するが,両者は3'領域の構造で異なり,また,脳を含む広汎な発現はX染色体上の遺伝子のみに認められた.また,同遺伝子決定領域の欠失を有する正常知能の女性保因者においてX染色体不活化解析を行い,目的とする遺伝子がX染色体の不活化を受けないことを見いだした. 2. Xp21.3に想定される非特異的知能障害遺伝子 この遺伝子を,Xp21.3の微小欠失と知能障害を有する4家系の解析により,DXS7182がらDXS7188の約2Mb領域に限局した.また,同遺伝子決定領域の欠失と知能障害を有する女性保因者においてX染色体不活化解析を行い,目的とする遺伝子がX染色体の不活化を受けることを見いだした. 3. Xp22.3上の症候性知能障害遺伝子(MLS) Microphthalmia with linear skin defects(MLS)syndromeと45,X/46,X,r(X)(p22q21)/46,X,del(X)(p22)核型を有する女児において,X染色体不活化の検討を行ない,正常X染色体が不活化した細胞におけるMLS遺伝子のヌリソミーが,知能障害を含むMLS syndrome発症において決定的な役割をしていることを見いだした.
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