研究課題/領域番号 |
09470207
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 光源 東北大学, 医学部, 教授 (70033321)
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研究分担者 |
沼知 陽太郎 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (00261636)
松岡 洋夫 東北大学, 医学部, 助教授 (00173815)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1998年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | キンドリング / 神経発芽 / 神経細胞死 / 海馬 / グリア細胞 / 顆粒細胞分裂 |
研究概要 |
海馬硬化の病理組織所見として、神経細胞脱落(神経細胞死)、グリオーシスと神経発芽がある。特に神経発芽はてんかんの成因でありまた難治化にかかわる所見とされている。神経発芽をめぐっては海馬歯状回の細胞脱落により生じる代償性の変化であるという説と、顆粒細胞の異常な細胞分裂によって生じた新生細胞の軸索から生じるという説がある。今回は、扁桃核キンドリングモデルを用いて神経発芽の発生メカニズムを検討した。まず1)Timm染色にて神経発芽の発生時期を検討し、ついで2)Terminaltransferase-mediated deoxyuridine triphosphate nick end labeling (TUNEL)法を用いて海馬歯状回門の神経細胞死を検討し、さらに3)Bromodeoxyuridine(BrdU)を用いて海馬歯状回顆粒細胞の細胞分裂を検討と4)免疫組織化学的手法でアストロサイトとミクログリアの変化を検討した。 その結果、1)神経発芽はキンドリング完成後の後発射29回または全身けいれんを10回以上反復した時点で生じており、2)TUNEL陽性所見は、海馬歯状回門の多形細胞層には得られなかったが、顆粒細胞層にて有意に認められた。3)アストロサイトは、後発射を29回反復した時点で活性化所見が得られた。4)ミクログリアの活性化は、後発射18回あるいは全身けいれんを10回反復した時点で得られた。5)顆粒細胞の増殖は、カイニン酸モデルではBrdUの1回投与で検出されたが、キンドリングモデルでは1回投与では検出されず、6回投与で検出された。 以上の結果から1)神経発芽はキンドリングの形成や永続性には関与しない、2)神経発芽は海馬歯状回の多形細胞脱落による代償性変化ではない、3)グリア細胞はキンドリング完成後に活性化し、アストロサイトの活性化は神経発芽の生じる時期に、またミクログリアは顆粒細胞の細胞死が生じている時期に活性化し、グリア細胞の活性化は神経発芽、神経細胞死に関与している可能性が示唆された。
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