研究分担者 |
安田 和基 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
為本 浩至 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
戸辺 一之 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30251242)
寺内 康夫 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
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配分額 *注記 |
15,300千円 (直接経費: 15,300千円)
1999年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1998年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1997年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
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研究概要 |
IRS-1欠損マウス(Nature372:182-186,1994;J.Clin.Invest.99:861-866,1997)が骨格筋や脂肪細胞でのインスリン抵抗性を有するが膵β細胞過形成を呈するするため,正常耐糖能が保持されるのと対照的である。一方、IRS-2欠損マウスは肝臓でインスリン抵抗性を有するうえに,膵β細胞形成障害が存在するためNIDDMを発症した(Diabetes,in press)。このようにIRS-1とIRS-2は類似した構造をもつものの,インスリン標的組織におけるインスリン作用や膵β細胞分化・増殖シグナルにおいて異なる役割を担っていることが示唆された。また、膵β細胞のグルコース応答性インスリン分泌におけるNADHシャトル(グリセロールリン酸(GP)シャトルとリンゴ酸・アスパラギン酸(MA)シャトルから構成される)の役割解明のため、GPシャトルの律速酵素であるミトコンドリア・グリセロール3リン酸脱水素酵素(mGDPH)欠損マウスを作製し,NADHシャトルがミトコンドリアエネルギー代謝の活性化を介して,グルコース応答性インスリン分泌の主要経路であることを初めて明らかにした(Science 283:981-985,1999;J.Biol.Chem.274:25386-25392,1999)。さらに個々の糖尿病候補遺伝子の欠損マウスのそのかけ合わせにより多因子病としてのヒト糖尿病を再構成し,糖尿病の発症進展にはインスリン分泌不全とインスリン抵抗性の両者の存在が重要であることを個体レペルで直接証明した(J.Clin.Invest.99:861-866,1997)。 このように発生工学を用いて個体レペルでの糖尿病発症機構の解析を精力的に進めてきた。ヒトNIDDM遺伝子マッピング・同定が急速に進んでいる現状を鑑みると,発生工学的手法によりヒト遺伝子異常をマウスにおいて再構成することがヒトNIDDMの分子機構の解明にも重要な役割を果たすことが期待される。
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