研究課題/領域番号 |
09470290
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桐野 高明 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (90126045)
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研究分担者 |
植木 敬介 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (20302705)
井出 隆文 (井手 隆文) 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (40262000)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
12,900千円 (直接経費: 12,900千円)
1998年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
1997年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
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キーワード | ユビキチン / アポトーシス / 細胞死 / 神経細胞 / 脳虚血 / 海馬 / 遅発性神経細胞死 / 蛋白分解 / ラジオイムノアッセイ / ELISA / in situ hybridization |
研究概要 |
まず、砂ネズミの一過性前脳虚血後の海馬CAl神経細胞におけるユビキチンの変化を、free form、conjugated formそれぞれについてradioimmunoassayおよびELISAにより定量化した。その結果、前記の免疫染色の結果と一致した。すなわち、一過性前脳虚血後の海馬CAl神経細胞ではfree formのユビキチンが減少し、それが回復しないが、それ以外のCA3あるいはdentate gyrusの神経細胞ではユビキチンの減少は一過性であり、48時間後にはコントロールレベルまで回復した。また、conjugated formのユビキチンは両者で著明に増加し、CA3/dentate gyrusの神経細胞では24時間後にはコントロールレベルまで回復したが、CAl細胞では48時間後でも高値を保ったままであった。In situ hybridizationを用いて、致死的5分間前脳虚血後のユビキチンmRNAの発現を調べると、虚血耐性獲得の有無に拘わらず、海馬全域あるいは大脳皮質で発現の著明な増加を認めた。CAl細胞では虚血後translation blockによってfree form ユビキチンが合成されず、虚血耐性獲得後はそのtranslationが回復することが明らかになった。free formユビキチンの減少は、その先のプロセスであるユビキチン/プロテアソームシステムによるタンパク質分解の低下を引き起こす。これらの現象が細胞死にともなう単なる結果なのか、それとも細胞死に何らかの関与をするプロセスなのかを検証した。ラット大脳皮質の初代培養神経細胞を作用機序の異なった複数のプロテアソーム阻害剤で処理し、プロテアソーム活性を低下させたところ、いずれの方法でも、caspase-3の活性化とそれに引き続くアポトーシスが誘導された。以上の結果はアポトーシスの一種と考えられる海馬の遅発性神経細胞死の過程にユビキチンが関与していることを示している。
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