研究分担者 |
吉武 淳 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (80291540)
田代 雅文 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (60264305)
坂梨 祐司 熊本大学, 医学部, 助手 (30274707)
志茂田 治 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (40187480)
岡本 泰介 熊本大学, 医学部, 助手 (90191957)
中山 良輔 熊本大学, 医学部付属病院, 助手 (60284775)
|
研究概要 |
体外式心肺補助と低体温による脳蘇生の研究には,長期体温自動コントロール装置が必要であるから,まず長期間動物の体温を自動的にコントロールする装置を作成した。この装置を利用して脳温と体の他の部位の温度(末梢温)の違いを調べた。 ECLHA自体の合併症として出血がある。低体温自身も血液凝固能を抑制するので長期間軽度低体温時の血小板凝集能とthrombelastigraphy(TEG)の変化を調べた。これらの基礎的実験により,方法の安全性を確認後にECLHAと低体温併用の実験を実施した。 長期間体温コントロール装置は,体温を0.4℃の誤差の範囲にコントロールし,1分間おきにデータを記録し,脳波のパワースペクトログラムを解析し保存できた。脳温と末梢温度の相違の研究により,脳温は,頚静脈血温,脳脊髄液温度(cistema magna温度),肺動脈血温等と相関することが分かった。肺動脈血の温度と脳温の間に0.5℃の差があった。直腸温は脳温と相関性はあるが,低体温時に下痢と粘液性便(心停止後)が起こりやすいので正確に脳温を表さない場合が多い。低体温時の動物の体温測定結果により,低体温体外式心肺補助動物実験では,出血防止,脳循環保持の点から,脳実質の直接体温測定,大槽脳脊髄液温度測定,頚静脈温度測定等にくらべ,肺動脈血温で脳温を代用することが一番適切であることが判明した。血液凝固能の研究によると低体温48時間の時点から血小板凝集能が抑制された。しかし,24時間低体温では血小板凝集能と血小板数が影響されなかった。したがって24時間のECLHAと低体温併用を決定した。 ECLHAと低体温を併用した蘇生法は、15分間の心停止動物モデルで劇的な蘇生効果を示したので、今後実験症例数を増やして蘇生効果を確認する必要がある。
|