研究課題/領域番号 |
09470365
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
吉村 泰典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (10129736)
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研究分担者 |
久慈 直昭 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80169987)
宮崎 豊彦 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20174162)
末岡 浩 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90162833)
田中 守 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20207145)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
12,100千円 (直接経費: 12,100千円)
1999年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1997年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
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キーワード | 子宮内膜 / 脱落膜 / β_1integrin / 着床 / hatching / attachment / outgrowth / β_1 integrin / β_1インテグリン |
研究概要 |
インテグリンは細胞接着過程に於ける細胞内外両方にシグナル伝達を行う機能的レセプターであり、focal adhesion kinase(FAK)のチロシンリン酸化がおこり種々の生物作用を発揮する。このチロシンリン酸化を受けるタンパクは細胞と基質の接着部位(接着班)に濃縮されており、FAKと呼ばれるが、その機能の詳細は現在も不明である。しかも、初期胚の発育や受精卵の着床現象におけるインテグリンを介してシグナル伝達機能については全く検討がなされておらず、不育症、原因不明不妊症患者における着床不全病態は依然とブラックボックスのままであった。 本研究において、我々は子宮内膜上皮細胞や間質細胞にβ_1 integrinやβ_<13> integrinの発現を確認し、着床期には特に間質細胞上にその発現が増強されることを明らかにした。また、子宮内膜間質細胞や脱落膜細胞に発現するβ_1 integrinは新しく開発されたBASA(blastocyst attachment-spreading assay)解析により初期胚の着床過程であるhatchingやattachmentには影響を与えないが、初期胚のtrophoblastのoutgrowthに深く関与していることが示された。 FAKは子宮内膜症細胞や脱落膜の接着班に存在し、チロシンリン酸化を受け、trophoblastのoutgrowthに関与していると考えられた。またβ_1 integrinのアミノ酸配列における[140-164]は、フィブロネクチンやビトロネクチンなどのextracellular matrixのRGDを認識する部位であることが明らかとなった。 ヒト不妊症における着床不全と考えられる症例で着床子宮内膜のintegrinα_vβ_3の発現が低下しており、逆にダナゾールによってもたらされたintegrinα_vβ_3発現の増加が着床の卯を改善させたことから、integrinα_vβ_3は着床に重要な役割を担っていることが明らかとなった。本来、implantation windowで発現すべきintegrinα_vβ_3の発現の低下が、着床不全の要因の1つであると考えられた。このようなintegrinは着床過程に深く関与しており、これらの詳細な機能解析は着生不全と考えられる不妊症の病態解明や治療のための新たな道を開くものと考えられた。
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