配分額 *注記 |
9,400千円 (直接経費: 9,400千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1997年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
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研究概要 |
歯髄刺激により細径の感覚神経が興奮すると,その神経終末のみならず,軸索反射を介して分岐軸索の終末からも神経ペプチドが放出され,歯髄血流が増加することが示唆されている.一方,複数の歯髄を同時に支配する分岐神経線維の存在が,電気生理学的,解剖学的に示されているが,これによって生じる現象やその意義については明らかにされていない.そこで本研究では,歯髄刺激と同時にその隣在歯の歯髄血流および歯髄内神経活動を観察し,複数歯の歯髄を支配する分岐神経線維によって生じる現象を検索した. 実験には,成熟ネコの上顎歯を使用した.第二前臼歯歯髄にマスタードオイルを貼付し(コントロール群ではミネラルオイルを貼付),同顎同側犬歯の歯髄血流と歯髄内神経活動を記録した.また,第二前臼歯歯髄に機械刺激(Kファイル挿入)を加え,同顎同側犬歯歯髄内神経活動を記録した. 第二前臼歯歯髄にマスタードオイルを貼付すると犬歯歯髄血流は有意に増加し,眼窩下神経切断動物においても同様の変化が生じた.第二前臼歯歯髄へのマスタードオイル貼付によって,犬歯歯髄内神経の発火が生じた実験例もあった.第二前臼歯歯髄にマスタードオイルを貼付した際の犬歯歯髄血流の増加は,血管収縮剤非含有リドカイン溶液の浸潤麻酔によって認められなくなった.また,数例においては第二前臼歯歯髄への機械刺激と同期した犬歯歯髄内神経の発火が観察された. 以上の結果より,歯髄を刺激すると分岐感覚神経が興奮し,その隣在歯の歯髄血流が増加することが明らかになった.また,機械刺激実験から,分岐神経線維の存在も実証された.
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