研究概要 |
歯質や各材料の微小領域における変形挙動の特徴を明らかにし,入歯の加齢現象に適した加齢シュミレーションを考案し,加齢シュミレーション後の歯質の微小領域の変形挙動を明らかにするのが本研究の目的である. 微小挙動の測定には当初ダイナミック硬さ試験機にて荷重徐荷時の押し込み深さより測定可能と考えられたが,象牙質の水分の影響を大きく受けたた,め微小な変化を評価するには適さないことが判明した.次に,非接触レーザースペックル歪み測定法を用いて弾性挙動が測定について検討した.歯科用コンポジットレジンを用いた測定結果と箔歪みゲージを用いた測定結果を比較検討したところ,非接触レーザースペックル歪み測定法と歪みゲージ測走法の値が良く一致することを明らかとなった.現在,この手法を用いて牛歯象牙質小型引張試験片の測定を検討中である. 牛歯象牙質小型引張試験片を用いて加齢によって引張強さがどう変化するか検討したところ,単純な引張強さでは差が認められなかったが疲労強さは有意に減少していた.この加齢シュミレーションとしては蛋白質の変性に注目して根管治療薬に浸漬した象牙質の引張特性の変化と,熱による影響として5℃,55℃の水中およびサーマルサイクルで2週間浸漬した象牙質の引張特性の変化について検討した.根管治療薬への浸漬により引張特性の変化が認められたが,必ずしも加齢シュミレーションに適するとは考えられなかった.2週間程度の熱による影響は引張特性にほとんど影響を及ぼさなかった.しかし,2週間サーマルサイクルを行った試片の引張強さをワイブル分析を行ったところ,ワイブル係数に変化が認められ,より長期間の浸漬後に評価を行うことで,加齢シュミレーションとして適切かどうかを評価できるものと考えられた.
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