研究課題/領域番号 |
09470438
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
補綴理工系歯学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
石川 邦夫 岡山大学, 歯学部, 助教授 (90202952)
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研究分担者 |
宮本 洋二 徳島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (20200214)
鈴木 一臣 岡山大学, 歯学部, 教授 (30050058)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
12,200千円 (直接経費: 12,200千円)
2000年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1999年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1998年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1997年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | アパタイトセメント / 骨置換 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 炭酸アパタイト / 分化 / アパタイト / 増殖 / 炭酸水素ナトリウム / 機械的性質 / 結晶性 / 硬化時間 |
研究概要 |
本研究は、より迅速に骨と置換するアパタイトセメントの開発の可能性を検討したものである。アパタイトセメントが骨に置換するためにはアパタイトセメントの吸収過程と骨形成過程が必要であるため、まずアパタイトセメントの吸収に関して検討を行った。従来型アパタイトセメント、迅速硬化型アパタイトセメント、非崩壊型アパタイトセメント硬化体ディスク上で破骨細胞を培養すると、対照として用いた焼結体アパタイトには全く吸収窩が形成されないのに、アパタイトセメントの場合は吸収窩が形成された。しかし吸収窩の面積は皮質骨ディスクと比較して小さく、骨置換には相当の期間がかかることがわかった。なお、アパタイトセメントの種類に依存した吸収窩面積の差異は認められず、いずれのアパタイトセメントも同様な速度で骨と置換すると考えられた。 次にアパタイトセメントの骨置換速度を増大させる目的でアパタイトセメント内に炭酸イオンの導入を試みた。炭酸源として炭酸水素ナトリウムを添加するとアパタイトセメント硬化体はBタイプの炭酸アパタイトになった。炭酸イオンの添加量が6%の場合に破骨細胞による吸収活性は2倍となり最大値が得られた。一方、アパタイトセメントの機械的強さは炭酸イオンの導入に伴い低下することがわかった。 アパタイトセメントは組成がアパタイトになるため骨伝導性が期待でき、吸収窩形成の後には骨が形成されると考えられる。そこで、骨伝導性の程度に関しては骨芽細胞の増殖および分化をマーカーとして細胞レベルでの検討を行った。その結果、アパタイトセメントは骨芽細胞の増殖には影響を及ぼさないものの、骨芽細胞の初期、分化、中期分化、後期分化のマーカーとして測定したI型コラーゲン、アルカリフォスフォターゼ、オステオカルシンの全ての値が、細胞培養用プラスティックシャーレはもとより、焼結体アパタイトと比較しても有意に大きな値を示した。したがって、アパタイトセメントは骨芽細胞の分化を促進することがわかった。 以上の結果から、より迅速に骨と置換するアパタイトセメントの開発は可能性が高く、学術的にも興味深い知見が得られる可能性が極めて高いと結論した。
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