研究概要 |
1.アリルセレノキシド,アリルセレニミド,アリルセレノニウムイリドの[2,3]-シグマトロピー反応による炭素炭素結合の形成を利用した環形成反応 アリル二重結合上にアルキル置換基を持つ化合物を用いて,選択性および適用範囲を検討した.その結果,アリルセレノキシド,アリルセレニミド,アリルセレノニウムイリドのいずれの場合も不斉誘起が起こることが判明した.特に,セレノニウムイリドの反応の結果は,本法の4級炭素構築法としての可能性を示唆するもので,今後の展開が期待される. 2.アニオニックオキビニルシプロパン転位を利用した奇数員環化合物の合成 われわれのグループで開発した[3+4]アニュレーションの,三炭素源であるアクリロイルシランのβ置換基として,従来のケイ素やスズなどのヘテロ原子以外に,アルキル基でも反応が進行することが明らかとなった.これにより,従来法では合成が困難であった七員炭素環を含む多環構造の単工程での構築が可能となり,今後の天然物合成などへの応用が期待される.また,アクリロイルシランのβ置換基として,塩素原子のような脱離基を導入したところ,[3+2]アニュレーションの場合は4-ヒドロキシ-2-シクロペンテノン誘導体が,また[3+4]アニュレーションではシクロヘプテンジオンに加えて,四員環を含む三環性化合物が生成することがわかった.
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