配分額 *注記 |
10,600千円 (直接経費: 10,600千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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研究概要 |
日本の山地景観の現状把握と保全の基礎的研究を目的として,北海道大雪山と本州の北アルプスにおいて,地生態学的調査を行った。その内容は,学術的に貴重な本邦の高山帯自然景観の形成過程解明の地生態学的基礎的調査と,レクリエーション資源として重要な山地景観の維持管理・保全に景観生態学方法論を適用する基礎的調査に大別される。 大雪山域は,豊富な高山植生と永久凍上が共存する多様な景観が展開する本邦唯一の領域である。本州中部山岳に比較すると人為的な破壊も少ないが,遊歩道沿いでは夏季に集中する登山客による踏みつけによって,湿原の乾燥化や高山帯地表の侵食などが目立つようになっている。ここでは湿原の遊歩道近傍における人為的破壊の調査を行ったほか,夏季の永久凍土帯下限における湧水によるガリー侵食防御の基礎データを取得するため,微地形・植生の現状把握と地温・気温の長期観測を実施した。 北アルプスにおいては,開発が高度に進行した典型的観光地である立山の室堂付近と,「日本百名山ブーム」によって特に中高年の登山者が激増している典型的登山コースにある常念岳付近で集中的に調査を行った。室堂付近では遊歩道沿いの植生破壊・土壌侵食の調査,ならびに観光客・登山客の通行人数計測やアンケート調査を実施した。また,常念岳においては亜高山帯から高山帯の山地景観の形成・維持機構に焦点を絞り,微地形・植生のマッピングと地温・気温・風速の長期観測ならびに偏形樹の調査を行った。 これらの諸調査の成果は,日本地理学会等で口頭発表・論文投稿したほか,共通する方法論をより広く社会にフィードバックするため研究組織メンバー以外からも若干名の執筆者を加えて『地生態学入門(仮題)』という単行本として刊行する予定である(研究分担者の横山を編著者とし古今書院から平成13年度中に刊行予定)。
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