研究概要 |
1. 接触電離で発生されるカリウム正イオンと電子から成る定常磁化円柱プラズマ中の局所空間に,炭素がサッカーボール状に結合した球殻構造の分子であるフラーレン(C_<60>)粒子を導入し,電子付着の結果として巨大負イオンを局所的に生成することができた. 2. ここで磁力線方向の現象に着目すると,上流から下流に向かう電子と正イオンの一部を反射する機構が負イオン生成領域に存在し,負の電位構造をもつ孤立波的パルスが間欠的に励起されて負イオン音速程度で下流に伝搬することが分かった.この結果は,一次元シミュレーションによっても得られ,負イオン生成率が小さい場合にはその生成領域に定常的に小さなポテンシャルディップが形成され,負イオン生成率がある閾値を超えて大きくなるとプラズマは不安定な状態に遷移して,局所的荷電分離によるダブルレイヤが形成されると共に,振幅の大きな孤立波的パルスが励起されることが判明した. 3. 次に,磁力線に垂直方向の現象に注目して測定を行った結果,正イオンは半径方向に著しく拡散しその拡散係数は負イオンが生成されていない場合に比べて5〜10倍に急増しており,負イオンはその生成領域の下流側出口付近においてプラズマ中心部から周辺部へ更に顕著に拡散して,周辺部に局在することが明らかになった. 4. この顕著な拡散が観測された領域では,その振幅分布が巨大負イオンの密度分布によって支配され,方位角方向にモード数が1もしくは2で正イオン反磁性方向に伝搬している,正イオン-負イオンから構成される新しい型のドリフト不安定波が発生していることが明らかになった.また,このドリフト波励起とプラズマ拡散には密接な関係があることが明確になった.
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