研究概要 |
磁気ビーチ配位における電子サイクロトロン加熱においては,波と同期して回転する電子群は共鳴磁場に近づくと、共鳴的に加速・減速を受け,その数も指数的に増大する.同時にに加熱波の波数は発散的に上昇する.このように強い特異性の中で進行する物理過程を純理論的に追求することは困難である.また実験的にも十分な分析はできていない.そこでこの過程を,電子の速度分布に鋭敏な電磁波放射の分析により見極めようするのが本研究の目的である. このため,単純な磁気ビーチ配位のなかで無衝突高温プラズマが生成されるタンデムミラー装置を利用して実験した.本補助金により,コンパクトな受信系,伝送系,周波数変換系と周波数分析系より構成される高感度計測システムを,プラズマ装置の条件に合わせて作成し,加熱波の周波数帯(28GHz)とその第2高調波帯において周波数分析とその結果に対する理論検討を行った. この結果,加熱された電子の個々の運動に伴うサイクロトロン放射として説明できる広いスペクトルの発生を確認した.更にその上に抜き出て,1000倍以上強く狭帯域の電磁波の発生を,加熱波よりも2%ほど高い周波数において見いだした.このような観測は未だ報告されておらず,新発見である.一連の実験でこの新しいスペクトル成分のパラメタ依存性を検討し,同時に理論解析を比較した結果,強力な単色加熱波により速度空間で位相変調を受けた電子が不均一な磁場分布の中で空間的に集群(bunching)し,集団的に可干渉性のサイクロトロン波を発生するという描像を得た.同時に電磁的性質が強いサイクロトロン波における非線形効果として,従来の知識から予想される諸過程の中では,波動間の非線形結合よりも粒子の軌道変調が主要な過程となり得るとの結論を得た.
|