研究課題/領域番号 |
09480128
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
法村 俊之 産業医科大学, 医学部, 教授 (20039530)
|
研究分担者 |
野元 諭 産業医科大学, 医学部, 助手 (90258608)
大津山 彰 産業医科大学, 医学部, 助教授 (10194218)
加藤 文雄 産業医科大学, 医学部, 助手 (20309959)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1997年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
|
キーワード | p53遺伝子 / アポトーシス / 奇形 / 放射線 / 線量率 / 組織修復 / p53ノックスとマウス / p53ノックアウトマウス / p53 |
研究概要 |
発生初期の胎仔では、組織内に傷をもつ細胞が生じると、p53はその損傷度を認識し、個体を守るためにアポトーシスによってその細胞を積極的に排除し、奇形の発生を防いでいる。さらに、放射線誘発アポトーシス活性はp53遺伝子が正常か否かに依存し、p53(+/-)マウス胎仔細胞はp53(+/+)マウスの胎仔の約半分である。P53(+/-)マウスがp53正常マウスに比し好催奇性であるのは、このアポトーシス活性の低下によるものと考えられる。 胎齢9.5日のp53正常(+/+)マウスに2GyのX線を高線量率(450mGy/min)で照射した場合、生存胎仔の40%(自然発生率10%で補正)に奇形が発生する。しかし、1.2mGy/minの低線量率照射(28時間で2Gy)では奇形発生の増加はゼロである。他方、p53欠損(-/-)マウスでは、2GyのX線照射による胎仔死亡率は7%と放射線致死抵抗性を示すが、生存胎仔での奇形発生率は55%(自然発生率21%で補正)に達し、さらに低線量率照射でも15%の頻度(自然発生率で補正)で奇形が発生した。P53(-/-)マウスでは、DNA修復系で完治できなかった損傷細胞をアポトーシスにより組織から排除することができないため、放射線障害が残るものと思われる。 これらの結果は、放射線などによりDNAに損傷が生じると、細胞はその損傷度を認識し、細胞周期を遅延させDNA損傷部の修復を行うとともに、細胞の状況によっては、p53が不治のDNA損傷を認識してアポトーシスを誘導し、損傷細胞を組織から排除することを示唆している。この2つの機能(DNA修復とアポトーシスを介した組織修復)がうまく協力して働くと、低レベル放射線などで組織にできる少々の傷は完全排除され、ダメージは蓄積しないと思われる。
|