研究概要 |
生合成の第1ステップに働く酵素に関し、ヒトのGPI1cDNAをクローニングしPIG-A,PIG-H,PIG-C,GPI1の4つのタンパク質の複合体が酵素の本質であることを証明した。さらに、in vitroの酵素反応系を確立し、特定のPIがGPIの生合成に用いられるらしいことを示した。また、第2ステップに働くPIG-Lタンパク質は、この酵素複合体に含まれていないことを示し、2つの酵素が分離できることを証明した(Watanabe et al.,EMBOJ.,1998,17:877-885)。PIG-Lが第2ステップの酵素そのものであることを示した(Watanabe et al.,Biochem.J.印刷中)。 GPIアンカーに用いられる3つのマンノースの供与体であるドリコールリン酸マンノースの合成酵素に関して、哺乳動物細胞では、酵母の同酵素であるDPM1のホモログだけでは不充分であることをまず証明した(Tomita et al.,JBC,1998,273:9249-9254)。次に,もう一つのサブユニットであるDPM2をクローニングし,これが触媒サブユニットであるDPM1の小胞体での安定した発現を制御している事を示した(Maeda et al.,EMBOJ.,1998,17:4920-4929)。 GPIアンカーをタンパク質に付加するトランスアミダーゼの本体に関し、出芽酵母でこのステップに働く遺伝子としてクローニングされていたGAA1とGPI8のヒトホモログをクローニングした。この2つのタンパク質が複合体を作っていることを示した。さらにGAAlがGPIシグナル配列の認識、GPI8が切断に働いていることを証明した(大石ら投稿準備中)。
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