研究概要 |
1.ヘム分解反応の二つの中間体であるヒドロキシヘム或はベルドヘムとヘムオキシゲナーゼ(HO)複合体の共鳴ラマン解析を行いその特性を明らかにし,これら中間体での酸素活性化機構解明の手掛かりを得た.2.HO-2のHis45をAlaに換えた変異酵素ではヘム分解活性は全く消失していた.更に,EPRの結果からHis45が近位Hisであることを明らかにした.His152は酵素活性発現には全く関与していなかった.この結果は私共のHO-1での結果,即ちHO-2のHis152に相当するHO-1のHis132をAlaに換えた変異酵素の諸性質は野性型酵素と同であった,とも矛盾しない.3.本反応ではCOが生成するがこのCOによってヘム分解反応が阻害されるようすが無い.その理由を検討したところ,ヘム鉄への酸素親和性が異常に高く,CO親和性と匹敵することが知られた.本反応で生じるCO濃度は反応場では酸素濃度より低いのでCOは阻害出来ないものと思われる.4.ヘム鉄に結合した酸素分子はFe-O-O-Hとなってから二つの酸素原子間が切断されると考えられてきた.恐らく,ヘム鉄に結合した酸素分子はヘムポケットのアミノ酸残基と水素結合を作り,次いでFe-O-O-Hとなるものと考えられる.コバルトプロトポルフィリンとHOとの酸素化型複合体についてEPR解析を行った結果それを証明出来た.
|