研究課題/領域番号 |
09480168
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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研究分担者 |
南 敏明 大阪医科大学, 医学部, 助手 (00257841)
西澤 幹雄 関西医科大学, 医学部, 講師 (40192687)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1998年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1997年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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キーワード | ノックアウトマウス / アロディニア / 痛覚過敏反応 / プロスタグランジンD_2 / プロスタグランジンE_2 / GABA / オピオイド / プロスタグランジD合成酵素 / プロスタグランジンD合成酵素 / グルタミン酸受容体 / プロスタグランジンF_2α |
研究概要 |
末梢組織の慢性炎症や神経損傷など病的状況下において、熱などの侵害性刺激に対する感受性が亢進する痛覚過敏反応だけでなく、本来痛みを誘発しない触覚刺激により痛み(アロディニア)が誘発される。遺伝子工学の急速な実験技術の進歩により、サブスタンスPやグルタミン酸が急性痛や痛覚過敏反応の発症に関与することが明らかとなったが、アロディニアに関しては、どのような生体因子が関与するのかという基本的な問題も不明であった。これまで、我々が確立したin vivoのアロディニアモデルを用いて薬理学的にアロディニアの発症機構を解明してきた。今回、当該モデルをPG(プロスタグランジン)合成酵素やPG受容体ノックアウトマウスに適用し、以下の知見を得た。 脳型PGD合成酵素のノックアウトマウスでは、PGD_2とPGE_2による痛覚過敏反応は影響されなかったのに対し、PGE_2によるアロディニアが誘発されず、fgオーダーのPGD_2をPGE_2と同時投与することによりPGE_2のアロディニアを誘発することができた。これらの結果は極微量のPGD_2がPGE_2のアロディニアの誘発に必要であること、PGD_2はpgオーダーではPGE_2のアロディニアの誘発を抑制することから、PGD_2は2相性にアロディニアの誘発に関与することがノックアウトマウスを用いることで明らかになった。さらに、PGD_2の作用には、抑制性のアミノ酸GABAが関与する可能性が示唆された。現在、他のPG合成酵素やPG受容体についても検討を加え、次々と新しい知見が得られつつある。これまでPGは末梢組織、オピオイド系は中枢神経系で痛覚反応に関与すると考えられてきた。我々は最近、新規ペプチド・ノシスタチンの単離・同定に成功し、その受容体のクローニングを進めている。発生工学的手法を駆使して、PGとオピオイド系がいずれも脊髄レベルにおいてアロディニアの発生機構に関与していることを物質レベルで明らかにしつつある。
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