研究課題/領域番号 |
09480218
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小宮 義璋 (小宮 義障) 群馬大学, 医学部, 教授 (50010046)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
12,300千円 (直接経費: 12,300千円)
1998年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
1997年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
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キーワード | 軸索 / 細胞骨格蛋白 / 微小管 / ニューロフィラメント / 脊髄後根神経節細胞 / 成長 / 加齢 / 神経再生 / 神経損傷 / 軸索再生 / 軸索内輸送 / 坐骨神経 / 蛋白リン酸化 / フォスファターゼ阻害剤 |
研究概要 |
正常神経では、ニューロフィラメントHサブユニット(NF-H)全体の溶解性は細胞体からの距離によらずほぼ一定(約20%)である。損傷神経では1週間後にはWaller変性により損傷部位より遠位側のニューロフィラメント蛋白がほぼ完全に消失する。新たに伸長する再生軸索内ではNF-Hの溶解性が高く、そのC末端側のリン酸化程度は低い。一方、損傷部位より近位側の変化を軸索内輸送されている標識ニューロフィラメント蛋白により検索すると、NF-Hの溶解性上昇とともに、NF-Lの量の相対的な低下が明らかになった。これらの変化は標識蛋白がより細胞体に近い位置にあるほど大きい。以上の結果から、ニューロフィラメントはN末端側のリン酸化・脱リン酸化によって制御される通常の重合・脱重合変換以外に、NF-Hの選択的離脱によっても構造や安定性の調節が行われていることが示唆された。 一方軸索内の微小管は種々の脱重合操作に抵抗性を示す安定重合型の割合が多い特徴を有している。しかし軸索が傷害を受けた場合などにはこれら安定型微小管も直ちに対応した変化を示し、修復のために利用できるダイナミック型に変換される。そこでラット脊髄後根神経節細胞の初代培養系を用い、軸索形成過程における安定化機構、及び傷害を与えた際の脱安定化機構を、微分干渉顕微鏡にビデオ画像増強装置を組み合わせることにより直接観察し、以下のような結果を得た。 1. 神経突起の細胞膜をこわして微小管を露出すると、少数の微小管は30分以上経過しても脱重合しない。培養開始1週間後ではこれらの安定型微小管は全体の10%以下である。 2. 安定重合型微小管をレーザービームを用いて切断すると、そのとたんに両断端から脱重合を開始する。これから安定型微小管はその全長にわたって安定化されているわけではないことが分かる。 3. 弓状に湾曲した微小管を切断すると、ちょうど弓の弦を切った時のように両断端が直線状にはじける反応が見られる。すなわち微小管には何らかの曲げる力が加わっていると考えられる。 4. 安定型微小管が切断されて脱重合を開始した場合に、特定の部分で脱重合が一時停止することがある。この停止部分には顆粒状の構造物が付着していることが多いが、何もないところで停止する場合もある。この部分で微小管の安定化がおこっているものと考え、その安定化機構の解析を進めている。
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