研究課題/領域番号 |
09480244
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験動物学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笠井 憲雪 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60001947)
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研究分担者 |
三好 一郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10183972)
平林 真澄 (株)ワイエスニューテクノロジー研究所, 発生生物学研究室, 主任研究員 (20353435)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
12,400千円 (直接経費: 12,400千円)
2000年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1997年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
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キーワード | ヒトウイルソン病モデル / LECラット / ATP7B遺伝子 / 劇症肝炎 / 銅 / 胆汁 / 胆管線維症 / 鉄 / ウィルソン病 / 銅代謝 / ATP7B / トランスジェニックラット / セルロプラスミン / 肝炎 / P-type ATPase / 遺伝子導入 / ウイルソン病 / Ptype-ATPase / 神経型 / マイクロインジェクション / ファウンダー動物 / 遺伝子病 / 受精卵 / 遺伝子欠損 |
研究概要 |
LEC ratはウイルシン病の動物モデルとして知られており、ヒトのATP7B遺伝子に相同なラットAtp7b遺伝子の変異により、銅輸送P-type ATPaseが欠損している。この結果、ヒトウイルソン病の肝型と類似の臨床症状である劇症肝炎、胆管線維症および肝癌を発症する。 今回我々は、ヒトのATP7B遺伝子の生体内での機能を確かめ、この遺伝子をLECラットに導入することにより肝臓疾患が救助することができるか否かを調べることを目的とした。 導入遺伝子はヒトATP7BcDNAにCXNプロモータを結合させ、LECラット受精卵の前核に注入した。作製されたトランスジェニックラットの導入遺伝子のPR-PCR解析により肝臓及び他の臓器における発現が示された。また、タンパクの発現はノーザンプロット解析により同様に肝臓及び他の臓器に見られた。トランスジェニックラットの血液中にホロセルロプラスミン合成が回復し、胆汁中に分泌される銅含量が増加することにより、肝臓と腎臓の銅含量が減少した。そしてトランスジェニックラットは血液中のGOTおよびGPT活性が大幅に減少し、劇症肝炎および胆管線維症の発現が抑制された。生存率もLECラットの26.3%から97%へと飛躍的に高まった。さらに、興味深いことは肝臓には鉄の蓄積が激減していることである。これらの知見はヒトATP7B遺伝子の産生物がラットの生体内でも銅がセルロナラスミンに結合して細胞間銅輸送を行うことができること、さらに胆汁による銅の排泄経路が機能することを示した。そして、ヒトATP7B遺伝子がLECラットにおいても機能し、ウィルソン病からの回復を示した。加えて、鉄は銅との共同作用でウィルソン病の肝臓疾患に必須の役割を果たしている事が示唆された。この研究におけるラット生体内でのヒトATP7B遺伝子の発現と機能の発現は、ウィルソン病の遺伝子治療の可能性に重要な証拠を与えている。
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