研究概要 |
研究の目的は分子イオンの遠赤外及び赤外領域の測定だが,分子イオン用の分光システムの開発及び赤外領域での波長可変炭酸ガスレーザー光源の改良を前提としていた.これらの問題を実験的に解説した後,最大の目標であったHeH^+分子の遠赤外領域での回転スペクトルの観測を遂行した.遠赤外領域では,HeH^+に続き,この発展としてKrH^+,NeH^+,ArD^+の研究を遂行した.又,赤外領域では,波長精度のよい波長可変炭酸ガスレーザーを開発した.これを赤外光源として用いた赤外・マイクロ波二重共鳴測定技術を確立した.又,赤外スペクトルの振動回転スペクトルに関連した理論的研究を行った. 研究実施計画に概ね即して記述すると (1) HeH^+の回転スペクトルの研究 HeH^+の4種のアイソトープ分子に対して遠赤外回転スペクトルを測定し,精密な分子定数を求めた. (2) その他の希ガス・陽子イオンの遠赤外スペクトルの研究 NeH^+,ArH^+及びKrH^+とその同位体分子の回転スペクトルを測定し,精密な分子定数を求めた. (3) 波長精度の高い波長可変炭酸ガスレーザーの開発 安定な炭酸ガスレーザーを製作し,これを基準とし波長可変炭酸ガスレーザーの周波数確度を高めた. (4) この光源を用いてのマイクロ波二重共鳴分光 二重共鳴法で振動励起状態のメタノール分子の数多くの回転スペクトルを精密に測定した.この解析のために,内部回転を持つ分子の振動・回転スペクトルの計算に有用なハミルトニアンを求め,それを応用した.
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