研究課題/領域番号 |
09490034
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
広領域
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
大城 香 東海大学, 海洋学部, 教授 (90101104)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
12,600千円 (直接経費: 12,600千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1997年度: 9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
|
キーワード | ラン藻 / シアノバクテリア / シアノファージ / 溶原性ファージ / Phormidium属ラン藻 / Trichodesmium / カリブ海 / 海洋環境 / Phormidium / trichodesmium |
研究概要 |
近年海洋の食物連鎖においてウィルスが大きく関与していることが明らかになってきた。海洋の重要な一次生産者である原核微細藻類のラン藻(シアノバクテリア)に感染死滅させるウイルス(シアノファージ)が汚染した沿岸海水だけでなく外洋水からも多数見つかり、ラン藻の現存量や基礎生産の重要な制御因子と見なされるようになってきている。しかし現在まで海水から発見されたシアノファージのほとんど全てが毒性ファージで、ファージに感染したラン藻細胞はただちに溶菌され死滅してしまう。我々はシアノファージの安定な溶原化が海産のPhormidium persicinum Provasoli株に成立していることを見いだし、マイトマイシンC処理などによりこの溶原性ファージが溶菌サイクルに入り宿主を溶菌死滅させることを見いだした。しかし、現在海洋でラン藻の現存量や基礎生産のウイルスによる制御を見積もる場合溶原性ファージの関与は全く考慮されていない。本研究では海洋における溶原性シアノファージのラン藻の現存量や一次生産量制御の解析に必要となる基本情報を得ることを主な目的として、(1)溶原性ファージを保持していることが明らかになったP. Persicinum Provasoli株の溶菌による現存量の制御の解析、(2)海産ラン藻における溶原性シアノファージの分布の検討、(3)外洋で大量発生と急速な消滅を繰り返す窒素固定ラン藻Trichodesmiumの急速な消滅のシアノファージが関与している可能性について培養株と予備的なフィールド調査を主として行い、(A)溶原化したシアノファージを保持しているラン藻集団では、すべてのプロファージが同時に溶菌サイクルにはいるような大きな変化を受けなくても、常に一部の細胞がファージにより死滅する制御を受けている、(B)溶原化したシアノファージを保持しているラン藻は少なくともSection IIIに属するラン藻では大きな割合を占めていること、(C)ラン藻に溶原化しているシアノファージは多様であること、(D)熱帯、亜熱帯外洋で大発生した後急速に消滅することがよく知られているTrichodesmium属ラン藻の培養株に溶原化したファージが存在すること、(E)カリブ海で行った予備的なフィールド調査から、海洋本種の急速な消滅の原因に溶原化したシアノファージが関与している可能性が高いことを明らかにした。
|