配分額 *注記 |
12,100千円 (直接経費: 12,100千円)
1999年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1998年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1997年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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研究概要 |
マイクロインジェクション法の効率化と自動化のため,マイクロピペットに超音波振動子を装着することによって受精卵細胞膜の刺入抵抗が計測できないか検討してきた。 平成9,10年度の研究にて刺入抵抗計測が可能であることが分かったが、再現性が悪かった。その主因は振動子とマイクロピペットの接合法にあった。接着剤による接合のため,両者を一直線に接合できないことや,系の位相にズレを生じるなどが再現性の悪い原因であった。しかし,超音波振動させつつマイクロピペットを刺入すれば,通常の方法より容易に卵細胞膜を貫通できるという成果が得られた。すなわち,刺入時の卵細胞陥凹率は通常の場合で40%であるのに対して,振動時の陥凹率は11%であった。(P<0.0001)。また接着剤による接合には,高価な振動子の使い捨て,複雑な較正の繰り返し,発信装置の交換などが必要となるので,実験を数多く重ねる障害となっていた。平成11年度は試行錯誤の結果,接合不要の中空振動子を試作した。振動子内部にマイクロピペット用ガラス管を通すだけで計測でき,ガラス管のみ交換すれば振動子は繰り返し使用できる。この振動子の性能を現在評価中であるが,振動子とマイクロピペットとの密着度が重要な鍵となる。密着度が不十分であれば刺入抵抗が計測できなくなる。きつすぎればマイクロピペットを通す際に振動子を破損する可能性がある。市販のガラス管はミクロンオーダーで径が異なるため,この試作振動子に対して20-30本中1本程度しか使用に耐えるものが見つからないといった現実的な問題もあり,さらなる改良が必要である。本研究はハード面でいろいろ問題があったため,思うような成果が得られなかった。しかし,この問題もやっと見通しがつき,現在いくつかの成果が得られるようになってきている。今後多くの成果が発表できるものと思われる。
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