研究課題/領域番号 |
09552003
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村松 岐夫 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80025147)
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研究分担者 |
片山 裕 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (10144403)
鳥居 高 明治大学, 商学部, 助教授 (70298040)
永井 史男 大阪市立大学, 法学部, 助教授 (10281106)
大西 裕 大阪市立大学, 法学部, 助教授 (90254375)
木村 幹 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授 (50253290)
玉田 芳史 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (90197567)
秋月 謙吾 京都大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (60243002)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
1998年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1997年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | 行政 / アジア / 住民登録 / 地方行政 / 経済開発 / 取引コスト / 効率性 / 資源動員 / 発展途上国 / 官僚制 / 近代化 |
研究概要 |
この研究プロジェクトは、途上国の行政能力向上(capacity-building)に関して分権化推進と行政制度改善のための提言を行うことを目的とした。研究成果は、理論面と実際面に分けられる。理論的成果の第一は、世界的な分権化の潮流がアジア諸国における分権化には、二つの要因が大きく影響していることが分かった。第一は、途上国が被援助国であるために、援助国・機関の分権化思想の影響受けやすい。ここで援助機関とは世界銀行、IMF,アジア開発銀行などである。第二には、多くの被援助国は、旧植民地国であり、宗主国の残した制度が現在のシステムの中にも濃厚に観察される。こうした環境のもとでの分権化は、各国で民主化過程のための要素である過程と理解されている。旧来の開発独裁的な行政であれ、最近の規制緩和を含む経済改革であれ「上からの」改革が進行する中で民主化は進歩の方向である。政府指導者の側からも政権を正統化するための妥協の策として分権化は受け入れられている。問題はどのようなタイプの地方制度を採用するかである。この点について我々は、途上国の分権化改革の全体について日本の機関委任事務、補助金制度、出向人事等は有益であるとの実務界からの意見も得られた。 次に、本プロジェクトが特に焦点を当てた住民登録に関して述べるならば、独立の過程での宗主国との葛藤が住民登録行政には刻印されていることが分かった。フィリピンにおける住民登録への嫌悪感は明らかにスペイン統治の後遺症であるし、マレーシアは建国とその後の政治秩序の維持のためにマレー人優位をうたう憲法持つという結果をもたらした。 さらに住民登録行政の発達には、その国家目的の重点の変化が見られる。住民登録は、徴税や徴兵といった国家の資源動員のための手段であると考えられたが、最近では、途上国の民主化は次第に住民登録を住民への公平なサービスのための行政制度と位置づけるようになっていったと思われる。我々が得た知見は、以上の大きな流れの中で適用されなければならない。
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