研究分担者 |
清水 洋 九州大学, 理学部, 教授 (50178985)
田中 和夫 弘前大学, 理工学部, 教授 (40003511)
西村 太志 東北大学, 理学研究科, 助手 (40222187)
田中 聡 東北大学, 理学研究科, 助手 (60281961)
植木 貞人 東北大学, 理学研究科, 助教授 (40004501)
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研究概要 |
磐悌火山地域において,1997年9月28日〜10月4日,研究分担者と研究協力者の合計76名が参加し,火山体内部構造,特にマグマ供給系・マグマ溜まりの解明を目的として人工地震探査を実施した.磐梯火山の浅部構造を高精度で調べるために,爆破点は西側山腹と南西山腹の2箇所に設け,100kgの火薬を用いて人工地震を発生させた.これらの爆破には,同時に磐梯山周辺で行われた火山噴火予知事業による火山体構造探査の爆破6点と相補的な関係をもたせた.3次元構造を解明するために観測点は面的に配置した.山頂から5km以内では約500m間隔,その外側10kmまでの領域には約1km間隔で,合計292観測点を設置した.ただし,山頂を通る東西と北北東-南南西の測線にそっては,特に高精度の構造断面を得るために,全領域500m間隔で観測点を紀置した.各観測点における観測には,固有周波数2Hzの上下動地震計と,火山体構造探査用に開発したデータロガーを用いた.データ収録間隔は4msとした.一連の観測の前後でGPS時計によりロガー内臓時計を校正したことによって,データ収録間隔以下の刻時精度を得ることができた. 観測された約2300個のP波データをトモグラフィーの手法を用いて地表下3kmまでの3次元速度構造を求めた.その結果,(1)磐梯山から猫魔山にかけて深さ1kmでP波速度4.5km/secの層が約500m盛り上がっていること,(2)磐梯山山頂の東側の沼の平火口の直下に幅2km以内の範囲で4.5km/secの層がほとんど表層近傍まで貫入していること,(3)この高速度層の貫入域は過去の噴火の爆裂火口の端に位置していることなどが明らかになった.これらの観測結果は,沼の平火口直下の貫入体が1888年などの山体崩壊を伴った噴火の源であったことを示唆する.
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