配分額 *注記 |
12,900千円 (直接経費: 12,900千円)
1999年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1997年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,火山活動や活断層の活動に伴う地殻変動を詳細に観測するために,どのような場所でも容易に設置できて多点高密度の観測ができる地殻変動観測装置を開発することである.この様な用途の観測システムでは可搬性や操作性が高く,電池等でも運用可能な低消費電力である必要がある. 本研究の初年度には,現在普及の著しいカーナビゲーション用のGPS受信機基板を用いて可搬性が高く低消費電力な観測システムを試作し,その性能を評価した.その結果,測線長10km以下ではこの種の受信機を用いても短期再現性が約5mm以下で,十分実用に耐えることが判明した. 次年度には試作装置に改良を加え,群発地震活動が盛んな静岡県伊東市周辺に10台の装置を設置して試験観測を開始した.1998年4月20日より伊東市沖の海上で群発地震活動が始まり,この活動に伴う地殻変動を高時間分解能,高密度で観測することができた.ここで得られた観測データからこの群発地震活動に伴う地殻変動の解析を進めている.その結果,群発地震の発生と同時に伊東市の川奈沖で開口割れ貝が発生し,その活動は地震活動の終息まで継続する.開口の大きさは群発地震活動の開始時が最も大きくて,次第に小さくなってゆく.また,これとは別にM>4の地震に伴う横ずれの断層に起困する地殻変動が,この開口割れ目による変動に重なっている,などのことが解明された. 本研究において開発した観測装置は,小型・軽量であるため,海外での観測にも適している.昨年9月22日に発生した台湾集集大地震の後,研究分担者の一人が本装置10台を震源地域に設置し,地震後の余効変動の検出を目的とした観測を開始した.本研究は今年度で終了するが,ここで観測されたデータの解析を今後も進め,大地震後の余効変動の研究を行いたい.
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