研究課題/領域番号 |
09554024
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
層位・古生物学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
岩見 雅史 (1999-2000) 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (40193768)
神谷 隆宏 (1997-1998) 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (80194976)
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研究分担者 |
塚越 哲 静岡大学, 理学部, 助教授 (90212050)
神谷 隆宏 金沢大学, 理学部, 助教授 (80194976)
岩見 雅史 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (40193768)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
12,100千円 (直接経費: 12,100千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1997年度: 8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
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キーワード | 進化 / 介形虫 / 系統推定 / 幼形進化 / 適応放散 / 分子遺伝学 / 貝形虫 / 進化の傾向 / 共生 / ポアシステム / リボゾームRNA / 系統 / 低次分類 / 高次分類 / PCR / 系統推定法 / 高次分類群 / ポア・システム / COI |
研究概要 |
本研究課題は、生物界全般にわたって塩基配列の比較が系統を論じるよい基準であるように、介形虫に特有な形質のひとつであるポア(感覚子)の分布パターンの比較が、介形虫分類群間の系統推定に信頼性の高い基準と成るか否かを立証することにあった。低次分類群間の比較については、既に個体発生におけるポアパターンの分化により系統関係の推定されていたCythere属のミトコンドリアDNAのCOI領域を分析・比較検討した。そしてポアパターンの分化による系統推定が塩基配列の分析によるものとよく一致することを認めた。ただし塩基配列の置換速度は従来報告されている甲殻類のものよりも大きいことが判明した。 一方高次分類群間の比較にポアパターンの比較が有効かどうかを確かめるため、Loxoconcha科内、Cythere上科内、Cypris上科内、Podocopida目内の分類群の調査を継続した。その結果、高次分類群間の比較になればなるほどポアパターンの分化が初期の成長段階で現れることが判明し、ポアによる介形虫の系統推定法はますます信頼性と普遍性が高まった。しかし一方で、Cypris上科やBairdia上科のように成体時に2000個を超えるポアをもつ分類群では近縁な分類群間でも比較的はやい段階でポアパターンの分化が起こったり、成長後期では個体間の変異数が大きくなりすぎ、種のもつ特徴を明確な数字で表すことが困難であることも判明した。その一方でこれらの観察事実から、重要な進化の傾向が読み取れた。ポア総数の少ない分類群であるCythere上科介形虫は現在浅海域を中心にもっとも多様化し繁栄しているグループであるが、これらが新生代以降に幼形進化し、適応放散したことが強く示唆された。高次分類群間の分子生物学的検討はまだ継続中だが、介形虫は化石標本でもポアという優れた系統推定基準をもつため、進化学の材料として将来きわめて有望であるといえる。
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