配分額 *注記 |
12,900千円 (直接経費: 12,900千円)
1999年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
|
研究概要 |
本研究は,原生生物の核DNAの塩基配列を解析して,環境指標種の遺伝子データベースを作ることを目的としている。そのために,環境指標となりうる原生生物のDNA解析を行い,DNAによる種カタログを作ることを第一の目標とする。その後,それぞれの種の環境情報データと組み合わせ,DNA塩基配列に基づいた生物環境調査支援システムを構築する。研究は次のように実施した。1)まず環境指標種になりうる原生生物種の個体群を確保した。試料採集は,浦の内湾・浜名湖・下田湾・小湊湾・松島湾・サロマ湖・サンフランシスコ湾で行った。有孔虫は内湾種のうち,貧酸素環境の指標であるAmmonia beccarii forma 1と,forma 2,Bulimina marginata/aculeata Group,富栄養化の指標であるTrochammina hadaiを重点に解析した。とくに,T.hadaiとA.beccariiは,個体群内の遺伝的変異を検討するために,一ヶ所で多くの個体を解析するように心がけた。また,岩礁地のGlabratella属についても解析した。2)飼育培養した原生生物,6種約200個体からDNAを抽出した。DNAは原生生物に特異的なプライマーを用いて増幅した。増幅部分は,核DNAのうちリボゾームをコードする,LSU rDNAの約1200塩基対,SSU rDNAの約1000塩基対およびITS領域である。PCR産物は精製し,クローニングを行ったのち,シーケンスした。3)DNA解析に用いた種類は,低真空走査型電子顕微鏡を用いて形態的な特徴を把握するとともに,写真を撮って記録した。4)DNA解析結果は,パーソナルコンピュータに保存し,データベースを作った。5)上記の有孔虫種については,自然個体群の経年観察および飼育実験の結果を解析し,環境要素に対する生理・生態的な特性を把握するとともに,形態変異と環境との相関についてもまとめた。6)以上のデータを総合して,生物環境調査支援システムを構築した。研究成果は7編の論文にして公表した.
|