配分額 *注記 |
11,100千円 (直接経費: 11,100千円)
2000年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1999年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1998年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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研究概要 |
二つのRuを架橋したオキソイオン(O^<2->)の塩基性は,Ruの酸化数の変化に伴い,大幅に変化する.すなわち,Ruの酸化数を変えることにより,架橋オキソへのルイス酸(金属イオンなど)の相互作用を制御できる.本研究は,このような性質を持つ錯体を自己集積化した電極を用いて,電位制御により,溶液中の金属イオンとの相互作用を可逆的に制御できる系の構築を目指し,同時にこの手法を用いて電極上に金属錯体超分子系を構築することを目的とした.成果は以下のようにまとめられる.(1)金電極上への安定な自己集積化膜の生成条件を確立した.すなわち,サイズの大きな錯体の集積化膜の安定化には,有機化合物との混合膜が,また錯体と電極とを繋ぐ部分のアルキル鎖に導入したペプチド基の水素結合が有効であることを示した.(2)オキソ架橋錯体の電極上でのプロトン共役電子移動を定量的に明らかにした.オキソ架橋Ru錯体の自己集積化膜が、水溶液を媒体として基本的に溶液中と同様の応答を示すこと,さらに自己集積化膜の独自の特徴として,溶液中の陰イオンによる電位制御が可能なことも示した.さらに,生化学的にも重要なFe-O-Fe型錯体について、初めて酸化型,還元型のオキソ架橋のpKaを評価した.(3)オキソ架橋錯体と各種ルイス酸(各種金属イオンおよびBF_3)との相互作用を初めて定量的に明らかにした.ことにAl^<3+>などとの相互作用では,プロトン付加以上に酸化状態の影響が大きいことを定量的に示した。(4)金電極上でのルテニウム多核錯体の段階的オリゴマー化を実現した.上の成果を応用した金属イオンと電極修飾クラスター錯体との相互作用では,金属イオンの安定的な固定に問題があったが,Ru三核錯体の自己集積化膜について,酸化還元に伴う配位子の脱着を利用することで三核錯体を電極上に計画的、段階的に数層積み上げオリゴマー化するための基礎的なアプローチを確立することが出来た.以上の成果は、まだ限られた錯体系について調べられたものであるが、一般性を持つ知見が多く、応用性も期待出来るので、今後の関連研究への発展が期待できる。
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