配分額 *注記 |
12,700千円 (直接経費: 12,700千円)
1999年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1998年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1997年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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研究概要 |
ポリエンマクロリド-フィリピンIIIの全合成をキラルオキサザボロリジノン助触媒不斉アルドール反応を基盤とする戦略で達成する課題に対して、研究はいくつかの有用な知見を得つつ進展した。これまでの結果として、8連続する1,3-ポリオール(ポリアセテート系)のアルドール反応のための出発アルデヒドの不斉アルドール反応による合成は完成し報告された(Tetrahedron:Asymmetry,1999)。合成された生成物は不斉シャープレス酸化をもとにRychnovskyらによって合成されたものに一致し、われわれの手法の有効性がしめされた。さらに、1,3-ポリオールの導入反応は、モデル反応として、同じわれわれの不斉アルドール反応を繰り返し使用する非常にシンプルな手法で検討された。7連続1,3-ポリ(シン)オールが同手法で不斉合成された。既存の不斉中心に関係なく新しい不斉中心を導入することを可能にするこの手法は、目的のフィリピンIIIだけでなく、さまざまな1,3-シンおよびアンチを含む鎖式骨格を構築する上で、有効であることが確認された。しかしながら、直線的合成法は選択性において非常に信頼でき、実験操作も簡便であるが、あまりにも長い直鎖の場合には、合成のトータル収率について効率的でないと判断された。そこで、covergentなアプローチを試みた。ふたつの1,3-ポリオールユニットをわれわれの不斉アルドール反応で合成しておき、そのユニット間での縮合を行って、目的のポリオールの合成を達成させる手法を開発した。この並列法は合成のトータル収率を著しく向上させた。縮合もまたわれわれの以前に開発していたシリルエノールエーテルを用いる不斉アルドール反応を使用した。この反応は不斉還元を伴い生成物として1,3-シンジオールを与える高度に制御された不斉反応である。この反応を最終段階で適用させることによって、フィリピンIIIの全ポリオール部分を含むsegmentの不斉合成を達成した(Tetrahedron Lett,2000)。現在、全合成を完成させつつある。
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