配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1997年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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研究概要 |
カーボンナノチューブは,電界放出エミッターとして有利な物理化学的性質を備え,電界放出型電子源の陰極材料としての応用が期待されている。本研究では、ナノチューブからの電界放出の基礎特性の評価,ならびにナノチューブ冷陰極電子源を備えた電子ディスプレイ素子の試作を行い,下の成果を得た。 1.電界放出顕微鏡法(FEM)による電子放出特性の評価 作製したFEM装置を用いて,多層ナノチューブ(MWNT),ナノグラファイバー(NGF),単層ナノチューブ(SWNT),気相成長カーボンファイバー(VGCF)などの種々のカーボンナノチューブからの電子放出の基礎特性を評価した。電界放出の閾値電圧が最も低く,最も高い電流が得られたナノチューブは,酸化処理により先端を被ったMWNTであった。このあと,エミッション特性は,精製したSWNT,NGF,未処理MWNT,VGCFの順で低下した。 2.カーボンナノチューブ陰極面からの電子放出特性の評価 金属基板表面に塗布したナノチューブ膜からの電子放出を調べ,陰極-グリッド間距離が1mm,グリッド電圧が750Vの場合,NGFでは2.5mA/cm^2,MWNTとSWNTでは約0.1mA/cm^2の電流密度が得られた。 3.雰囲気ガスのナノチューブエミッタの寿命に及ぼす影響 酸素,水,窒素およびアルゴン雰囲気においてナノチューブエミッタの寿命テストを行った結果,酸素が寿命に最も悪影響を及ぼすことが明らかになった。酸素圧が10^<-7>Torr以上では,寿命が著しく低下した。 4.カーボンナノチューブ電界放出電子源の試作と評価 ナノチューブを陰極とする蛍光表示管を試作し,ナノチューブ電界放出電子源の性能を評価した。その結果,100μA以上の電流を観測し,実用に耐える十分の寿命と輝度を得ることができた。
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