研究概要 |
研究の初期の目的であるサブミクロンオーダーサブミクロンの高分解能化と顕微鏡そのものの実用化及び顕微鏡システムを用いた分極情報の書き込み読み取りを行うことを目的に研究をスタートしたが,研究費申請時の目標を遥かに上回る1ナノメータの分解能を達成した. 即ち,プローブ探針の接触状態を検出する機構を開発したことにより,非常に細い深針の使用が可能になりナノメータの分解能をも持つ走査型非線形誘電率顕微鏡の開発に成功した.1ナノメータの大きさになると,強誘電体の単位格子が0.4nm程度の大きさであることより,もはや平均的な分極という概念は適用できなくなり幾つかの双極子モーメントを直接観測している可能性がある. また,理論的な展開も大きく進展し,新たに考案した非線形誘電率に起因するエネルギーを用いた計算手法により,顕微鏡像や面内分解能,深さ方向分解能の理論計算が可能になった. また展開研究の目的でもある本顕微鏡の実用化にも成功し中央精機株式会社から発売の運びとなった.最後に,本顕微鏡システムを用いた書き込み読み取りの同時実行についてはまだ少々大きなビットではあるが1ミクロンオーダーの大きさの分極情報の書き込み読み取りに成功し新たな強誘電体記録に展開しつつある.
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