配分額 *注記 |
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1997年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
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研究概要 |
本研究は,ピコ秒パルスのガラスレーザによる超精密微細知的加工システムを開発するとともに,加工現象を明らかにすることを目的として行った.知的加工システムは,複雑な現象を予測できる能力を有する.そこで,本研究は,知的レーザ加工システムの一つの柱であるアブレーション現象の予測に主眼を置き,金属とシリコンのレーザアブレーション現象の熱流体解析と分子動力学シュミレーションを行った. 熱流体解析では,蒸発潜熱と蒸発に伴う気液界面の移動,蒸発反跳圧力,マランゴニ力を考慮して,蒸発を伴う溶融池流れを解析した.加工穴は主に蒸発反跳圧力によって溶融池表面が押し下げられるために生じ,誘起される溶融池流れが溶融金属を周囲に押しやることで穴周囲に盛上りが生じる.この流れはレーザ照射終了後も持続し盛上りが成長する.盛上りの周囲が凝固するときに,マランゴニ力が盛上りを助長する. 分子動力学シュミレーションでは,提案した改良型分子動力学法を用いて,超短パルスレーザによる金属の蒸発形態に2種類あることを示した.一つは,パルス幅が非常に短い場合に生じる爆発的な蒸発であり,もう一つは,パルス幅が長いときに生じる比較的穏やかな蒸発である.前者では,蒸発粒子がクラスタとなって飛散しやすいのに対して,後者では,ばらばらに飛散しやすい.これらの相違は,パルス幅10psが目安となる.シリコンについては,Stillinger-Weberポテンシャルを用いて三次元シュミレーションした.(111)面の方が(100)面よりも内部への衝撃波の伝播速度が速く,パルス幅が5psといった比較的長いときは,(111)面の方が溶融深さも深くなる.[111]方向には原子配列が層状であり,格子振動が伝播しやすいためである.これに対して,パルス幅が0.2psといった極めて短いときは,溶融深さは表面の結晶構造にほとんど依存しない.極超短パルスでは,レーザの内部吸収の影響が大きく,熱伝導の効果が非常に小さいためである.
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