| 研究概要 |
本研究は平成9年度と平成10年度の2ヶ年で実施され,3つのシステム((1)工作機械の運動精度診断システム,(2)工作機械の主軸系異常診断システム,(3)ネットワークを利用したリモート診断システム)が開発された。得られた成果は以下のとおりにまとめられる。
1. 工作機械の運動精度診断システムの開発
NC工作機械の円運動試験,位置決め精度試験を行える新しい運動精度試験法を提案し,円運動および位置決め精度測定器を開発するとともに,案内面誤差診断システムを構築した。測定器の開発において,レーザ干渉測長システムを測長センサに使用することにより,1μm以下の測定分解能を持つことを確認し、工作機械の円運動測定が有効に行えることを検証した。同レーザ干渉測長システムを2軸使用した運動精度診断装置を開発し,半径の小さな円弧補間運動の運動軌道,真直度,直角度の測定など二次元の運動軌道測定が可能であることを明らかにした。
2. 工作機械の主軸系異常診断システムの開発
工作機械主軸リモート診断システムでは,加速度センサ,AEセンサ,温度センサを用いて、転がり軸受の損傷を判断する。損傷のない軸受,内輪に傷のある軸受,ボールに傷のある軸受を用いて,各センサ信号から転がり軸受の状態を診断するための特徴を抽出し,転がり軸受のリモート診断を可能とした。
3. ネットワークを利用したリモート診断システムの開発
ネットワークを利用したリモート診断システムの開発の基礎となるホストコンピュータ(ワークステーション)と工作機械制御装置との間での情報の相互通信技術を確立した.開発した通信システムは、遠隔地ワークステーションから工作機械のリモート運転,および制御装置NCステータスの取得・修正を可能としている。また,工作機械に設置されたセンサからの情報をネットワークを介して遠隔地ワークステーションに圧縮データとして送信するシステムを開発した。NC制御装置情報およびセンサ情報を基に遠隔地で判断した指示内容を,ネットワークを介して工作機械側へ送信するシステムを開発した。
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