研究分担者 |
野村 宏次 石油産業活性化センサー, 技術開発部, 部長
川那辺 洋 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (60273471)
石山 拓二 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (30203037)
塩路 昌宏 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (80135524)
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研究概要 |
複数の動力源を持つハイブリッドシステムは自動車車両の燃料消費量低減に有効である.本研究は,熱機関-電動機,熱機関-油圧モータなどのすでに提案され,研究されているシステムと異なる,空気圧力を用いた動力システムを提案した.本システムはディーゼル機関と空気圧縮機を一体化した高圧縮空気発生機関を中心に,空気貯蔵タンクおよび膨張機を代表的な構成要素とする. 本研究ではまず,このシステムの理論的な熱効率について考察し,理想的にはブレイトンサイクルと同じ熱効率を持つことを示した.また,動力システムとして必要な出力調整機能を持たせる方法と,出力を変化させた時の熱効率の変化について検討し,本システムが低出力ほど高い熱効率を持つ車両駆動用として都合のよい特性を持つことを明らかにした.また,空気発生機関においては圧力比を高く取って,それに適合する圧縮比を選ぶことがエクセルギー効率を高めるのに必要なことや,膨張機においてはそのサイズの許容範囲内で締切比の最高値を低く抑えることが高効率運転につながることを示した. 次に,電磁駆動式可変タイミング吸気バルブを有する膨張機を試作,運転し,その問題点を明らかにするとともに,改善策を検討した.駆動力の小さな電磁駆動方式では,バルブの開閉速度が十分でなく,低い出力を発生することが難しい.この問題に対して,バルブが閉まるにつれて流量係数が急激に小さくなる構造を考案し,出力の可変範囲をある程度広げることに成功した.また,膨張機の出力は理論値よりも15%程度低い値となったが,排気時間面積の増大などの対策により改善できる見込みを示した.
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