配分額 *注記 |
12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
1999年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1997年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
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研究概要 |
本研究では,電気化学的に耐久性のある水素終端ダイヤモンド表面上に,イオン感応性FET(ISFET)を形成し,これをバイオセンサーのトランスデューサとして機能させ,従来のSi MOSFETと比較し,より堅牢なセンサーの試作検討を3ヵ年にて行った. 1.解質溶液をゲートとしたFETを水素終端ダイヤモンド表面上に作製した.このFETのゲート部は,ダイヤモンド水素終端表面を直接電解質水溶液にさらしたもので,溶液とソースの電位差がゲートバイアスとなる.半導体表面を直接液体電解質にさらした構造のFETとしては世界ではじめてのもので,従来のISFETよりも高い電流駆動能力が得られる. 2.作製された電解質ゲートFETは,ホモエピタキシャルダイヤモンドやヘテロエピタキシャルダイヤモンドのみならず,成膜が容易な多結晶ダイヤモンドでも,理想的な静特性をしめした. 3.作製されたFETは,完全なピンチオフとドレイン電流の飽和を示し,オフ時の漏れ電流が極めて少なく,オンオフの電流比が4桁以上ある.さらに、pH1からpH14まで上記の特性で安定に動作した. 4.閾値電圧の溶液pH依存性を調査した結果,閾値電圧は電解質のpHに対してネルンスト応答せず,一定の閾値電圧をとることがわかった.これにより、pHに依存しない表面の上に所望の感応基を設けることが出来る. 5.一方,Cl^-イオン濃度に関しては,濃度が1桁変化するごとにしきい値電圧が30-60mV変化することがわかった.1Mol/Lから10^<-6>Mol/Lの範囲でCl^-イオン濃度の検出が行えることがわかり,Cl^-感応性FETとしての応用が期待される. 以上,耐環境バイオセンサーの基礎デバイスであるダイヤモンド電解質溶液ゲートFETを世界で最初に開発し,過酷な環境での動作確認,さらに微量塩素イオンの検出に成功した.
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