研究概要 |
集積回路に用いられるナノメータ・スケールMOSトランジスタに関する研究として、下記の事を行った. (1)3次元MOSトランジスタの新しい構造、及び、動作の提案 微細SGT型・M-SGT型3次元MOSトランジスタを評価解析する事により、動作特性に対する構造パラメータの抽出、及び、入力電圧波形依存性の解析を行った.その結果、微細SGT型・M-SGT型3次元MOSトランジスタの動作機構を解析的に定式化し、そのモデル化を行った。これにより、徴細SGT型・M-SGT型3次元MOSトランジスタにおける動作速度、電力消費、微細構造を律速している要因をデバイスパラメータ毎に定量的に評価することが可能となった。 (2)3次元MOSトランジスタを用いた新しい回路構成、回路レイアウトの提案 集積回路の動作速度、電力消費、微細構造を律速している要因を、デバイスパラメータ、及び、回路設計パラメータ毎に定量的に評価することが可能となった。 (3)3次元SGT型フラッシュメモりの提案,及び,動作機構の解析 本研究では,Flashメモリを高集積化するために,新しいFloating Channel type SGT(FC-SGT)Flashメモリを提案した。FC-SGT Flashメモリはチャネル部をフローティング構造としている。また,FC-SGTフラッシュメモリの消去動作を決定するチャネル部表面電位の消去時間依存性を,2次元デバイスシミュレータを用いて明らかにした。これらの動作機構の解析により,FC-SGT Flashメモリは,チャネル全面での両方向書込・消去動作が可能である事を初めて明らかにした。従ってFC-SGT Flashメモリは高集積化,低消費電力,高速な書込動作及び高信頼性を同時に実現できる。特に,FC-SGT Flashメモリの書込特性は,従来の平面型Flashメモリと比べて約2倍の高速性を実現できることを示した。
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